個人でもSDGsに寄与・貢献します
2030年までに持続可能でよりよい世界を目指す国際目標、それが「持続可能な開発目標(SDGs)」です。2015年9月の国連サミットで採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」に、SDGsを構成する17のゴール(目標)と、それをさらに具体化した169のターゲットが記載されています。
倉部は個人での業務であれ、様々な組織との協働であれ、このSDGsが定めるゴールとターゲットの実現に貢献できるよう務めます。とりわけ、以下の項目は高大接続や進路指導・キャリア教育の支援といった倉部の業務領域に関連が深いと考え、意識的な寄与と貢献を目指します。
目標4. すべての人に包摂的かつ公正な質の高い教育を確保し、生涯学習の機会を促進する
4.3 2030年までに、すべての人々が男女の区別なく、手の届く質の高い技術教育・職業教育及び大学を含む高等教育への平等なアクセスを得られるようにする。
4.5 2030年までに、教育におけるジェンダー格差を無くし、障害者、先住民及び脆弱な立場にある子どもなど、脆弱層があらゆるレベルの教育や職業訓練に平等にアクセスできるようにする。
4.7 2030年までに、持続可能な開発のための教育及び持続可能なライフスタイル、人権、男女の平等、平和及び非暴力的文化の推進、グローバル・シチズンシップ、文化多様性と文化の持続可能な開発への貢献の理解の教育を通して、全ての学習者が、持続可能な開発を促進するために必要な知識及び技能を習得できるようにする。
持続可能な開発のための2030アジェンダ
- マーチン・トロウは、高等教育進学率が50%を越えた社会を「ユニバーサルアクセス段階」の高等教育だと定義しました。大学は一部のエリートではなく万人のためのものになり、その教育目標は研究者や官僚ほか高度専門職の育成だけではなく、産業社会に適応しうる全国民の育成にまで広がります。「大学」と一言ではくくれない極度の多様性の中で、私達は大学進学を考えることになります。
- しかし我が国で議論と実践が進んでいる「高大接続」の領域では、家庭の経済状況や文化資本の有無による格差、地域による格差などの影響がしばしば見過ごされる、あるいは過小評価される傾向があります。
- たとえば、入学難易度の高い進学校に属する高校生には多くの高等教育機関が積極的に手をさしのべるが、そうでない高校生には消極的である……といった差は顕著に見られます。実際には、そのような進学校に所属しない若者の活躍にこそ、SDGsが描く持続可能な社会の実現がかかっているとしても、です。こうした経験機会の格差が埋められないままでは、我が国の高大接続は、SDGsが目指すゴールとは真逆の方向に向かってしまう可能性もあります。
- 持続可能な社会は、社会を構成するすべての人々の貢献によって実現されます。そのために、望めばあらゆる人々が高等教育にアクセスし、自身の能力を開発できるような環境を全国津々浦々に整備することは大切です。
- 全国各地の高等教育機関と連携して、全国各地の若者が大学や短期大学、専門学校などの学びを十分に理解した上で進学できる環境を整えることを倉部は目指します。マーチン・トロウが描いた「ユニバーサルアクセス段階」の高等教育を理想的な形で成立させることを通じて、私達市民一人ひとりの生き方を豊かにし、結果的に多様さと寛容さに満ちた社会が実現するよう務めます。
目標5. ジェンダー平等を達成し、すべての女性及び女児の能力強化を行う
5.1 あらゆる場所におけるすべての女性及び女児に対するあらゆる形態の差別を撤廃する。
5.5 政治、経済、公共分野でのあらゆるレベルの意思決定において、完全かつ効果的な女性の参画及び平等なリーダーシップの機会を確保する。
持続可能な開発のための2030アジェンダ
- 高校生が進路選択を行う環境において、「女性は理工系に進むべきではない」「女性に四年制大学への進学は不要である」といった古い固定観念や偏見に基づく大人の意見が、現在でもしばしば見られます。直接的にこのような言葉をかけられていなかったとしても、若者を取り巻く環境が結果的にジェンダー・ステレオタイプを押しつけてしまうことは多々あります。「本当は違うことを学びたいのですが、私は女性なので、資格を取って親元で働くことを保護者から期待されています」といった声などからも、そうした影響はしばしば見受けられます。
- そのような現状を変え、ジェンダーによって特定の進路を選びにくかったり、あるいは過度に期待されたり、押しつけられたりすることのない社会の実現を目指します。特に女性の進路学習やキャリア教育に関わる業務では、ジェンダー・ステレオタイプから自由になれるような学びの提供を心がけます。
目標8. 包摂的かつ持続可能な経済成長及びすべての人々の完全かつ生産的な雇用と働きがいのある人間らしい雇用(ディーセント・ワーク)を促進する
8.6 2020年までに、就労、就学及び職業訓練のいずれも行っていない若者の割合を大幅に減らす。
持続可能な開発のための2030アジェンダ
- 就労は、高等教育機関へ進学する若者にとっても、そうでない若者にとっても非常に大きな問題です。我が国でも多くの学校、高校や大学などの高等教育機関が従来から就職支援に力を注いできました。
- しかし「就職率」などの数字に過度に振り回されたり、就労可能性が高いからと保護者が勧めた進路を無条件に受け入れて、本人が後に後悔したりといった問題もしばしば見受けられます。望まない進学先を選んだ結果、早期に中途退学することになり、結果的に正規雇用に就きにくくなるなどの進学ミスマッチも社会課題となっています。
- 高校卒業後の「行き先」、たとえば大学合格や就職の内定をとりあえず得ることがゴールになり、その後の退学・離職可能性などがあまり考慮されない進路指導、いわゆる「出口指導」になってしまうことは、我が国の教育機関が抱えている課題です。学校を取り巻く社会環境が「出口指導」を誘発してしまう、構造的な問題もそこには存在します。
- 長期的な視点で客観的に自分のキャリアや社会の今後を俯瞰し、冷静に物事を考え、建設的にキャリアを積んでいけるような学びの提供を倉部は心がけます。また各教育機関が置かれている環境を踏まえ、所属するステークホルダーの負担を理解し、生徒・学生の長期的な成長を支える最適な環境づくりに寄与することに務めます。
目標10. 各国内及び各国間の不平等を是正する
10.2 2030年までに、年齢、性別、障害、人種、民族、出自、宗教、あるいは経済的地位その他の状況に関わりなく、すべての人々の能力強化及び社会的、経済的及び政治的な包含を促進する。
持続可能な開発のための2030アジェンダ
- 前述の通り、格差は諸国間のみならず我が国の国内にも存在します。教育はそうした格差や不平等を是正するために機能すべきですが、現実には家庭環境や居住地、ジェンダーといった要素による影響が様々な場面で根強く残っています。高等教育機関が若者に対して企画する施策の数々、たとえば高大接続と呼ばれる取り組みも、一部の限られた対象者、学習機会に恵まれてきた人々には積極的に提供されています。ですが、たまたまこれまで学ぶ機会に恵まれず過ごしてきた若者に対してはどうでしょうか。彼らの意欲や能力を開発し、可能性を引き出すことにおいて、大学が寄与・貢献できることはまだまだあるはずです。
- 高大接続という領域において、こうした格差や不平等を是正することに倉部は務めます。いわゆる難関大学や進学校のためだけの施策ではなく、広くすべての若者と高等教育機関の可能性を拓く業務に取り組み続けます。